事業期間:2012年度〜2016年度

2013.09.11 │ voiceインタビュー:PBL修了生に聞く~ハードウェアとソフトウェアによるもの作りから学ぶ実践力

PBLのことは実際に受講した学生の方から聞くのが一番。ということで、このシリーズでは、これまでにPBLを受講された学生の皆さんにインタビューを行い、受講動機や実際に受講後に感じたことメリット、デメリットなどを伺います。今回は、組込みシステム分野においてPBLを受講された九州大学の4名の学生の方にお話を伺いました。

PBL修了生に聞く~ハードウェアとソフトウェアによるもの作りから学ぶ実践力

修了された PBLの内容を教えてください。

石田:我々全員、モデル駆動開発による模型飛行船制御ソフトウェアの開発(サイバーフィジカルシステム人材育成プログラムPBLの一環)の飛行船ロボットチャレンジに挑戦しました。私は主に設計を担当しました。
高:私はハードウェア設計が担当でした。どのようなハードウェアを作れば良いかを検討しました。
日下:私は主にスケジュール管理、通信部分の開発を担当しました。
馬:私は主にプロジェクトマネジメントを担当していました。
石田:当初は、先輩に続けとばかり、優勝を目指していたのですが、ヘリウムガスの世界的な不足によって、競技ルールが変わり、結局、自分たちで課題設定を行うところから始めました。最終的に、マインドストームを使った貨物輸送という課題に取り組みました。

このテーマを選択した理由、動機、重視したことは何ですか?

石田:大学のサークル活動ではマイコンに関わっており、組込みシステムに興味を持っていました。これが飛行船のテーマを選んだ大きな理由です。加えて、新しいことを学びたかったこともありますね。
高:集中合宿で演習があり、その時に組込みシステムに興味を持ちました。
日下:ソフトウェアとハードウェア両方に関わることができて、ものづくりをテーマとする科目ということで、これを選びました。
馬:大学ではJavaアプリを開発していました。大学院進学にあたって、研究室で組込みシステムを研究しており、それに関係するPBLがこのテーマでした。

どのような手段を通じてそのPBLを知りましたか?

石田:研究室の先輩から伺ったPBLにとても興味を持ちました。実際に何をするかはウェブなどで調べました。
日下:ウェブで公開されている情報を頼りにしていました。入学後にガイダンスがあり、一つ上の先輩との交流会を通じて詳しい話を伺いました。
馬:半年間、研究生だった時に大学主催の説明会に参加しました。また、研究室の先輩からも詳しい話を聞きました。

PBLを受講された後に感じたことを教えてください。

石田:チームマネジメントにおいてスキルアップできた点です。システム設計の経験がなかったため、受講前はチーム内でコミュニケーションがとれるかどうか、不安でした。一方で、チーム開発で必要な要素、特にプロジェクト・マネジメントスキルの習得、またハードウェア、ソフトウェアの両方に関われることに期待していました。
高:コミュニケーション能力、リーダーシップ、開発経験は十分に学ぶことができました。
日下:チームでの作業を進めること、もの作りの体験、いろいろな人との交流や意見交換ができたことです。
馬:コミュニケーション能力が向上しました。いろいろな方との交流も進み、技術スキルだけでなく日本の文化を知る良い機会となりました。
石田:一方、先に述べたように、ルールが変わるなどバタバタしたこともありました。その結果、システム設計も不十分のままであり、ハードウェアを作ることもままなりませんでした。チームとしてまとまった活動を行うまでに相当の時間を要してしまいました。

研究とPBLの両立はいかがでしたか?

石田:正直なところ、研究との両立は厳しかったです。特に自分の場合、時間・場所でやる気に違いもあるため、研究室にいるときは研究に集中する、そうで無いときは他の場所で作業を行うように心がけました。
高:私も同様です。研究室にいるときは研究に集中することに努めました。
日下:私は、時間、場所はあまり気になりませんでした。その時の優先度で研究とPBLを切り替えていました。
馬:テーマが飛行船のときは、研究とPBLが重なったテーマだったので、特に意識する必要はありませんでした。マインドストームに変わってからPBLに時間をとられるようになりました。

知人・後輩に薦めますか?また、それはなぜですか?

石田:情熱がある人には薦めますが、内向的な人、周りの意見に左右されやすい方にはお薦めしません。
高:自分の研究室の後輩からも相談を受けましたが、まずはやってみたらと薦めます。
日下:仲間との交流をしたいという人には薦めます。目的に依存すると思います。
馬:就職したい学生には薦めます。PBLではチームでの開発力、コミュニケーションなど必要なスキルを習得できます。私は日常的な会話力も向上しており、とても有益でした。

「実践的教育」という言葉から、どのような教育を想像されますか?

石田:机上の理論だけでなく、自ら考えてものを作ること、試行錯誤のプロセスを学ぶことです。
高:経験、発見を通じて学ぶことです。
日下:ものを実際に作るスキルを学ぶということです。失敗することはありましたが、この経験は大きな財産だと思います。学生のうちにこうした失敗経験、課題に直面することは良いことだと思います。
馬:教員の指導のもとで自分の手で、何かを作るというプロセスを学ぶという印象があります。

enPiT が提供する実践的教育を受けるとして、懸念されることがありますか?

石田:enPiT が提供する実践的教育を受けるとして、懸念されることがありますか?
高:研究との両立でしょうか。やはり、研究室の指導教員との調整が必要になる場合があります。
日下:講義内容・スケジュールが事前にわかっていれば、実際にイメージしやすいと思います。
馬:研究室でもチームで研究を行なっているため、メンバーとの調整が必要となる場合があります。

ありがとうございました。

1ph_inoue03

左から、石田 良介さん、高 原さん、日下 和也さん、馬 立東さん
(九州大学大学院システム情報科学府情報知能工学専攻 1年:平成25年2月取材当時)

(インタビュー・文 西村一彦)