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2013.08.08 │ voiceインタビュー:PBL修了生に聞く~最高のソフトウェア工学を学びたい

PBLのことは実際に受講した学生の方から聞くのが一番。ということで、このシリーズでは、これまでにPBLを受講された学生の皆さんにインタビューを行い、受講動機や実際に受講後に感じたことメリット、デメリットなどを伺います。今回は、クラウドコンピューティング分野においてPBLを受講された2名の学生の方にお話を伺いました。

-情報系学科を選んだ理由を教えてください。

村上:高校時代にプログラミングを学びたいと思ったことがきっかけです。プログラミングができるとかっこいいと思っていたんですよね。大阪大学を選んだのは、ここがソフトウェア工学に強い大学という評判だったからです。
楊:私の場合、母親がパソコン教室の教師だったこともあり中学生からパソコンに触れていました。プログラミングには当初から興味を持っていて、コンテストで受賞した経験もあります。その後、日本のソフトウェアの開発方法を学びたいと思って大阪大学に入りました。いずれは中国に戻りたいと考えています。

修了された PBLの内容を教えてください。

村上:図書管理システムの拡張をチームで開発しました。図書の貸借、書籍情報の追加などが主な機能です。1チームは5から6名で構成され、他大学のメンバーも含まれています。他大学の学生や先生との交流は大変新鮮でした。チーム内での役割は固定しておらず、ほぼ毎週のように役割を変えていました。プログラムの実装は最も難しかったですね。
楊:私も同じシステムの開発を担当しました。JSP/Servlet といった未経験な技術を使うことには不安がありましたが、チームメンバーの協力もあって問題なくできました。また、Trac を使ったチケット駆動型開発も初めてでした。

このテーマを選択した理由、動機、重視したことは何ですか?

村上:プログラミングができること、そして他大学との交流がポイントでした。
楊:日本に来る動機にもつながるのですが、日本のソフトウェア工学を学びたかったのが大きな理由です。

情報技術を使って社会を変えてみよう

どのような手段を通じてそのPBLを知りましたか?

村上:学内の情報や、研究室の先輩からの情報が一番大きかったと記憶しています。

PBLを受講された後に感じたことを教えてください。

村上:いろいろな人とお話をする機会に恵まれ人脈が増えました。また、技術スキルがアップしたことも実感しています。複数のチームがPBLを受講していましたが、納期100%厳守というチームがあり、これはちょっと驚きでした。
楊:プログラムを実装する際にコーディングルールを事前に決めることで、開発がスムーズにいくことがわかりました。また、毎週、チームメンバー同士で報告をしあうことは良いと思いました。チーム開発を通じて、他メンバーの仕事の進め方を学ぶことができる点はメリットといえます。

村上:一方で、チーム開発の苦労もわかりました。この時は一人の方が楽かもしれないと思いましたね。
楊:強いて挙げるとすると、システム全体のアーキテクチャを作るところまで踏み込めなかったことが反省点です。

知人・後輩に薦めますか?また、それはなぜですか?

村上:PBLは積極的に薦めたいです。こうしたチームでの講義は他にはないと思いますし、特に情報系の学生には薦めたいと思います。
楊:私も同感です。ソフトウェア工学を学びたい人はこのPBLを受講したほうが良いですね。

「実践的教育」という言葉から、どのような教育を想像されますか?

村上:現場で起こったことに基づいて学ぶということでしょうか。ゼロから作り上げる、最先端に触れるという意味にもとれますね。
楊:自分で手を動かして、新しい技術を身につける教育という印象があります。

何が学べればこの実践的教育を受けたいと思いますか?

村上:その分野の最先端の技術を学べるかですね。特に、研究を薦める先生から直接的に指導を受けられればとても良いと思います。
楊:単純に技術を学ぶだけでなく、日本というかアジアというか、その地域ならではのコミュニケーションスキルを身につけることができると良いと思います。

4分野の中で、クラウドコンピューティング以外に関心のあるテーマ分野を教えてください。

村上:私はセキュリティ分野に興味があります。学部、大学院でもセキュリティに特化して学んでいなかったので、興味があります。
楊:私は組込みシステムですね。ハードウェアとソフトウェアの設計をいっしょに行う点に興味があります。

どうもありがとうございました。

村上寛明さん

大阪大学大学院 情報科学研究科
コンピューターサイエンス専攻
村上寛明さん

4月より博士課程に進学

楊 嘉晨さん


大阪大学大学院 情報科学研究科
コンピューターサイエンス専攻
楊 嘉晨さん

4月より博士課程に進学。上海交通大学 ソフトウェア学院 ソフトウェア工学部を卒業

(インタビュー・文 西村一彦)