2つのユニークなコース:「連合型PBL」と「OJL」
分散PBLとして、連合型PBLと新しい産学連携教育手法であるOJLの2タイプを設けました。両タイプとも基本コース(対象:主に修士1年)と発展コース(対象:修士1・2年)を設けました。基本コースは、問題発見能力を身に付けるコース。発展コースは、基本コースからの単なる延長ではなく、管理技術とその運用方法まで踏み込んだ高度な問題解決能力を身に付けるコースです。基本コース修了に相当する能力を身に付けていれば、基本コースを受講していない学生も発展コースを受講できます。
組込みシステム分野の教育内容
基礎知識学習の授業は、参加大学では用意できないことが考えられます。用意できない場合は連携大学(九州大学、名古屋大学)からその授業を配信しました。
集中合宿は、複数拠点で同時開催することも考えられます。例えば、九州大学連合型PBLの場合は、参加大学がすでに九州、四国、近畿から関東にまで広がっている。そのためスプリングスクールは、九州大学に全参加大学が集結するのではなく、九州大学と首都圏の大学の2拠点で同時開催しました。
短期集中合宿後の分散PBLでは、問題発見から問題解決までをプロジェクトとして取り組み、組込みシステム技術の実践力を養成しました。
分散PBLの終了時は成果発表会を実施。学会と連携した成果発表会も企画しました。
教材
整備を進めている教材は、次の通りです。
- ディペンダビリティ技術、センサー・ネットワーク技術、モデルベース開発・検証技術、HW/SW協調開発技術などの組込みシステム開発に関する基礎および発展的な内容
- 分散PBLの指導方法や進め方
- ソフトウェア開発技術、プロジェクトマネジメント手法、開発支援ツールの利用法
- 文書作成技術、プロジェクト実施時のコミュニケーション技術
九州大学では、次の教材を準備し、連合型PBLにおけるキックオフに位置付けるスプリングスクール、サマースクールで使用しました。
- キックオフ・オリエンテーション教材
- PBL演習課題・開発環境・開発技術の解説教材
- プロジェクトマネジメント教材
名古屋大学では、受講生の事前教育用に、大学院情報科学研究科で前期に開講している次の2講座を整備し、配信しました。
- ソフトウェア工学特論
- システムプログラム特論
OJLのキックオフに位置付ける夏期の短期集中合宿では、次の教材を使用しました。
- OJL概論
- 組込み概論
- 組込みプログラミング基礎教材
- プロジェクト管理教材(開発プロセスと品質、プロセスフローダイアグラム、予実管理)
- プロジェクト・コミュニケーション教材
- 文書作成技術教材
前述の組込みシステム分野の教材データは、2014年9月からenPiT関係者に限定公開しています。開発した教材データと教育実績資料などは、九州大学データ共有システムに蓄積し、随時閲覧可能となっています。 その他に、昨年度同様に、名古屋大学で実施している社会人技術者向けの公開講座を、組込みシステム分野だけでなく他分野の学生が受講できるようにしました。